Maison Margielaのロゴタブジャケットに思うこと

2018年の秋冬コレクションアイテムなのでしょうか。

服好きから絶大な支持を受けているファッションブランド、Maison Margiela (メゾン マルジェラ / 以下、マルジェラ)が販売している1着の洋服。

これに関してぼくは「このブランドは相変わらず、捻くれているな」と思いました。

 

もちろんいい意味で、です。

余談ですが、ぼくはマルジェラの洋服を着たことはこれまでに一度もありません。

単純に定価が高すぎて手が届かないので、ブランド古着でリングと財布を買ったことしかありません。

 

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服自体を評価して欲しいと願うブランド、マルジェラ

ブランドのアイコニックな特徴と言えば、よく首元に縫い付けられているブランドタグ。

多くのブランドにも同じことが言えますが、マルジェラが違うのはブランドタグの四角だけを簡易的に縫い付けていることです。

 

これはブランドの「私たちは洋服自体に価値を見出しているのであって、価値があるのはブランドネームではないと思っている」という考えの表れ。

それゆえ、いつでもタグを簡単に取り外して貰えるようにと、あえて簡易的に縫い付けてあるのだと言います。

 

ブランドの考えとは裏腹に、皮肉にもその四角は「一発でマルジェラの服だと分かる目印」となってしまいました。

言い換えれば「ぼくは (私は)ハイブランドの洋服を着ています」と見栄を張りたい人たちにとって恰好の餌に。

”ブランド物”が大好きな日本人の場合は特に、マルジェラのタグを外して洋服を着ている人なんて、ほとんどいないのではないでしょうか。

最も、最初からそこまで考えた上で”あえて四角縫い”にしたのなら、めちゃくちゃ考えられていたんだな・・・と思います。

 

マルジェラがロゴタブジャケットを販売した本当の意図は?

良くも悪くも、ブランドネームだけを見て作った洋服が評価されることを嫌うブランド、マルジェラ。

2018年の秋冬コレクションにおいて、ブランドは突如、普段は首元に縫い付けられているロゴタブをアイコニックにあしらったジャケットを発表します。

 

店舗で実物を見た訳ではないので詳細は不明ですが、画像で見る限り、ジャケットの胸元に配置されたタグはすぐに取り出すことができる仕様になっているような。

 

ブランドの哲学は曲げないにしても、突如このような”ブランドアピール全開”のジャケットを売り出した。

その本当の理由を、ぼくは”消費者に対する皮肉”なのではないか?と考えました。

 

服自体を見て評価して欲しい。そう思い続けて服作りを行っているブランド、マルジェラ。

しかし皮肉にも、四角を縫ったタグがブランドのアイコンになってしまい、いつしかそれを目当てにブランドの服を買う人たちが増えていった。

 

「じゃあ、あなたたちが欲しい服っていうのはこういうことなんでしょう?」

普段は首元に縫い付けてあるタグを恐らくそのまま、胸元に配置する。

ブランド側としては心なしか、そのジャケットを買う人を冷ややかな目で見ている気さえ、ぼくにはしてしまうのでした。

そして、買った上でロゴタブを外して着る人のことを、真の理解者だというようにも。

 

余談ですが、美しくデザインされたように見えるタグには全て意味があります。

数字が並んだマルジェラのタグは通称”カレンダータグ”と呼ばれ、ブランド名に続く数字がそのアイテムを発表したコレクションラインを表している。

このジャケットの場合は数字の10が丸で囲まれています。

これにより「Maison Margiela 10」はメンズラインのアイテムだ、とすぐに判断することが可能になっているんです。

 

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マルジェラの哲学を受け継いだジョン・ガリアーノの初コレクション

ロゴタブを胸にあしらったジャケットを見て、その後でコレクションを見て知ったこと。

2018年の秋冬コレクションは、マルジェラを退任したデザイナーのマルタン・マルジェラに代わってジョン・ガリアーノが就任し、初めて発表したコレクションだったということ。

 

マルタン・マルジェラは公表しないだけで以前からデザイナーを退任していたなんて噂で、その後はデザイナーを置くことなくチームで活動を行っていたなんて話も。

そんな状況がしばらく続き、後任デザイナーとしてその職を任されたのは世界的デザイナーのジョン・ガリアーノ。

 

退廃的で「反モード」なデザインが特徴的なマルジェラに、正反対に華やかなデザインを得意とするガリアーノが就任してどうなることやら、と噂になりました。

レディースでは以前からコレクションを発表しているものの、ガリアーノが手掛けるメンズラインのコレクションは2018年の秋冬が初だったと言います。

 

そこにはマルジェラが得意とする手法や、ブランドらしさを感じさせるルックがたくさん。

ガリアーノから「マルジェラの哲学を確実に引き継いだ上で、ジョン・ガリアーノとしてMaison Margielaを創っていこう」という意思を感じる素敵なコレクションでした。

 

そんなコレクションの中で、ロゴタブを大胆にも胸元にあしらったジャケットを発表。

あくまでも購入者の意思で簡単に取り外せるように作られたそれは、マルジェラに尊敬を示した上でこそできる、ブランド愛好者と名乗る人たちへの皮肉でしょう。

 

単体でジャケットを見たときにもそんなことを思いましたが、ジョン・ガリアーノが手掛ける初のコレクションということを知って、その思いはより強くなりました。

 

ぼくがもし、マルジェラの洋服を気に入って購入する機会があったなら、まず間違いなく縫い付けられた四角のタグを外すでしょう。

ブランドネームではなく、服そのものに惹かれて購入したと示す行為。

それが、マルジェラというブランドに敬意を示すいちばんの方法だと思うからです。

 

ブランドは違えど、ぼくはタグを外して着ることがある

たまたまマルジェラのジャケットをネットで見つけたこと。

これは以前からぼくが考えていたことを記事にする、ちょうどいい機会になりました。

 

「ブランドって、その価値って何だろう?」なんて、もうずっと考えているんです。

例に出したような理由でマルジェラのジャケットを買う人なら、言い方は悪いかもしれませんが”いい服を着ていることをアピールしたいから”だと思っていて。

 

ぼくに好きなブランドがある理由はそうじゃありません。

決して流行の中心にあるようなカテゴリーのブランドではないし、いい服を着ているアピールをしたいが為でもない。

考えた結果、行き着いた答えは「このブランドが作っている服なら、作りや品質において信頼できる」と思えること。

もしくは「好みのデザインを体現してくれるから」と感じていること。

ぼくがブランド単位で洋服を探したり、買ったりする意図の真意はそこにあります。

 

例えばiroquoisの服を、Episode no.,の服を、ぼくは「とんでもなく凝ったことをしてまで、最高に素晴らしい服を作ろうとしているブランド」だと感じています。

だからこそ、それらのブランドが作る洋服は信頼ができる。

品質においても、作りにおいても「絶対に間違いない」と感じさせてくれる、ひとつの信用の形だと思っているんです。

 

そこに魅力を感じているから、服自体に魅力を感じているからこそ、ぼくはブランドタグを取り外すことがあります。

マルジェラのように推奨しているブランドではなくたって、この行為はブランドに敬意を示すひとつの方法だと思っているからです。

 

手放すときに高く売れなくなってしまったり、なんてことはあるかもしれませんが、タグを外すと「売ろうかな」と思わなくなる自分もいて。

それだけ「ずっと着続ける」ことに対する意思表示ができるようになる。

 

好みが変わったり、飽きてしまったりするのは仕方のないことかもしれません。

そうじゃない限りは、ずっと着続ける。そういった姿勢の表れです。

 

意味こそ違いますが、GUの服だったりもタグを取り外すことがあります。

デザインや生地こそ気に入っていても、正直なところ”まじまじとGUの洋服であることを受け入れて”しまうと、気持ちが萎えてしまったりすることも。

きっと安くて誰でも買えるから。皆と一緒になってしまうからこそ、そう思うのだと思います。

 

そんなファッションブランドを立ち上げて服を作り続けているGUの企業努力は本当に素晴らしいものですし、尊敬すべきです。

だからこそ、タグを外してでも着続けている、という解釈になるのでしょう。

逆に言える「ハイブランドの洋服を着ると気持ちが引き締まる」っていうのも、素敵だと思うんですよね。

この記事ではそれが周りにアピールするためなのか、自分のためなのか、の違いを書いているだけであって。

 

ぼくはただ、自分のためにファッションを楽しんでいたい。

見栄えのために選んだ洋服は、そういった買い物はとことん失敗の連続だったから、そう思っているんです。

 

ブランドタグを外してしまう。

これをすると、自分がその服のどこに価値を感じているのかが非常にハッキリして面白いな、なんてことをずっと思っていたのでした。

1年ほど前から、ブランドに関係なく作りのいいもの、デザインのいいものが評価される古着に興味を感じ始めたのも、きっとそんな考えと関係しているはず。

 

「タグを外せ」と言っているようなブランド、マルジェラ。

今回のジャケットにおけるクリエーションも含め、改めて本当に偉大で素敵なファッションブランドだと感じました。

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いわた

いわた

洋服の経年変化を愛でるファッションブロガー。自分で着たい服を作ることも。 個人ブログ「いわタワー」も運営しています。

YouTubeチャンネル「いわたの偏愛コレクション」