古着への深いリスペクトを感じる現代版N-2Bに、服作りの在るべき姿を見た

「そういえば、真っ黒なアウターって案外持っていないな」

そう思ったぼくは、これからやってくる寒い季節へ向けてネットでヘビーアウターを探し始めました。

 

手持ちの服を部屋中に散らかしながら、深夜の一人コーディネート大会。それを終えた後で、ふとそんなことに気が付きました。

正確には、ある。タイトなサイズ感のPコート。でも、もう少しゆるいシルエットでラフに着れる、真っ黒なアウターが欲しい。

 

完全に深夜のテンションでした。ヤフオク、メルカリ、ZOZOUSEDをはしごして見つけたそれの購入ボタンを押したのは、外も明るく始める朝5時頃。

本格的に外が明るくなった頃、少しだけ「やってしまった」と思いました。深夜のテンションで判断力が鈍って、つい服を買っちゃうやつ。

でも安かったし、格好いいし、いいんだ。数日後、購入したそれが家に届きました。

 

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セレオリの本気とリスペクトを感じる、機能性も抜群のN-2B

つい最近ご紹介したURBAN RESEARCHのパーカーに次いで、またまたセレクトショップのオリジナルブランドアイテム。

少し前まで「品質も良くないんだろうな」と食わず嫌いならぬ着ず嫌いをしていましたが、徹底的に妥協せず目を通してみると、たまに「おっ」と思うアイテムもあるものです。

実際、UNITED ARROWS BEAUTY&YOUTHで去年の冬に展開されていたシンサレート入りのMA-1は少し欲しいと思っていました。

MA-1は既に3~4着持っているので我慢はしましたが・・・。

 

今回購入したN-2Bも、BEAUTY&YOUTHが展開する”シンサレートシリーズ”のアイテム。セレオリのアウターを買うなら、これはかなりアリな選択肢だとぼくは思っています。

ぼくはデザインはもちろん、作りや製法、機能性にはかなりこだわりがある方だと自負しています。極端な話、デザインよりもそっちを重視している部分はある。

 

以前も記事にしましたが、”シンサレート”とは高機能素材の名称。

アウターの中綿に使われる素材で、ポリエステルから成るそれはダウンよりも軽いのに、ダウンよりも暖かいという抜群の保温性を持っています。

 

アウターの表面に風を防ぐ素材を採用した上、中綿にはシンサレートを採用している。定価で買えば30,000円というのは、非常にコスパもいい。

基本的に新品が持つ、あのピカピカした雰囲気が苦手なぼくは、どうしても欲しいもの以外はブランド古着で探すことが多く。

今回も例外なくそうして探してみたところ、ZOZOUSEDでは15,000円で販売されていた同じN-2Bを他サイトにて6,000円で発見したので、即購入しました。

 

軍モノ「N-2B」へのリスペクトを感じるデザインと作り込み

ぼくはネットで洋服を買うときも、購入ボタンを押す前にその服に関しての情報を徹底的に集めます。

定価で売られていたときの販売ページから、他の写真をたくさん見てみる。機能性に関しての情報を集めてみる。

たくさん集めた上で本当に納得し、欲しいと思った洋服だけを購入する。

このN-2Bが家にあるということは、当たり前ですがぼくが心の底から欲しいと思ったからこそ、です。

 

何に魅力を感じたかと言えば、”本家N-2Bへのリスペクトをしっかり感じたから”

Pコートでも、それこそMA-1でもそうですが、一般的なカジュアルブランドの場合はそれらの洋服のデザインだけを使って、売ることだけを重視する。

そこにぼくはリスペクトを一切感じないんです。

「このデザインを今風にアレンジすれば売れそうだ」その手に掛かった過去の洋服たちは、カジュアルブランドのフィルターを通して価値が過小評価されるようになってしまいました。

 

元を正せば、全ての洋服には生まれた意味があるもの。

Pコートはイギリスの海軍や漁師さんが海へ出るときの防寒服として生まれた。

一部のカジュアルブランドはボタンに錨のマークを入れている辺り、それはそれである種のリスペクトなのかもしれませんが・・・。

今でこそ、一般的に言うPコートって、かなり頼りないアウターの代表格のように見えてしまっていますが、本当は真冬の海に出るときに着られるよう服だったんですよ。

 

MA-1にも、街着として人気のミリタリー系アウターにも、生まれた理由はある。

全てを紹介していたら長くなってしまいますし、ぼくも自分が興味を持ったことをきっかけに、それについて調べるので全てを知っている訳ではないため、今回は省きます。

しかし今回ご紹介するN-2Bに関しては書かせて頂くと、元々はアメリカ空軍が防寒着として開発したアウター。

国のお金を使って作られる軍モノは機能性に定評があります。過酷な環境を過ごす軍隊のために作られた洋服。

 

”ミルスペック”という、軍隊に支給される洋服としてのクオリティー基準も存在します。

今でも古着好きに軍モノが人気なのは、タフな機能性と無骨な見た目が持つ絶大な魅力が多くの人を惹きつけて離さないからなのでしょう。

 

空軍が着用するアイテムということで、俗に言う”フライトジャケット”と呼ばれるN-2B。

フロントにもばっちり、UNIVERSALジップを採用しているところを非常に気に入りました。

ブログでは何度も書いていますが、洋服は例え全体のクオリティーが高かったとしても、ジップに安っぽいものを採用していれば、全体のイメージが台無しになります。

それだけで途端に安っぽく見えてしまう。逆に言えば、そこさえこだわれば、ある程度は”いい服っぽく”見せることもできるということです。

 

ただUNIVERSALジップを採用しているだけじゃなく、フロントのジップ、これが結構大きいんですよ。

ぼくの小指よりも圧倒的に大きい。人差し指と比べても、第一関節までは余裕である大きさです。

軍モノ好きは、古臭い雰囲気をプンプン放つ大きなジップ、通称”デカジップ”に弱いもの。この無骨な雰囲気、たまりません。

 

綺麗な洋服を好む人は嫌う”パッカリング(縫い部分における糸の引きつり加工)”をあえて入れることで、何年も着古したかのような表情を作っています。

この辺りの作りにまでこだわるなんて、古着へのリスペクトを感じずにはいられません。

 

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「N-2Bといえば」なフード部分の特徴的なジップのディテール

フライトジャケットであるN-2Bが持つ最大の特徴は、フードに付いた大きなジップ。

ぼく自身、ブランド古着屋さんでアルバイトをしていた頃から、N-2Bは見慣れた人気の軍モノアウターでした。

 

しかし、どうしてフードにジップが付いているのかは正直、知らなかったんです。

購入したことを機に調べてみると、フライトジャケットとして愛用されていたN-2Bは、狭い機内で着る際にフードが邪魔になる恐れがあるから、ということらしく。

 

ジップをがっつり開くと、セーラー服のような見た目と襟に。こうすることで、機内での操縦に支障が生じないように、邪魔にならないようにしていたとのこと。

やっぱり全てのディテールには意味があるんですよね。BEAUTY&YOUTHは当然、街着としてこの服を作っているので、このジップはほぼ必要ありません。

それでも再現をすること。やはり本家へのリスペクトをひしひしと感じます。

 

ちなみに、フードにはボタンが付いていて、N-2Bの特徴とも言える巨大なファーを取り付けられるかのようなディテールに。

このアイテムに関しては、全体のコンセプトとして”本家へのリスペクトは忘れない。

その上で必要最低限のディテールで現代風のミニマルなデザインにしよう”という意図を、ぼくは感じました。

 

現代的なデザインに仕上げる上で、ファーは必要ない。フードのボアも必要ない。そう考えての判断だったのでしょう。

実際、今まで古着のN-2Bに興味はあってもぼくが手を出してこなかったのは、ぼくが本家に手を出すと野暮ったくなりすぎる心配があったからなのでした。

そこを見事なまでに払拭したデザイン。必要な部分は残し、不要な部分は削ぎ落とす。最もアイコニックなフードのジップは残しつつの判断は、まさに完璧。

 

・・・機能性の話に戻って、ぼくが購入したBEAUTY&YOUTHのN-2Bはミルスペックを満たしているという訳ではありません。

そして何も、現代の服作りにおいてミルスペックを基準とする必要はない。進化した技術によって、より高い機能性を持った洋服を作り出すことが可能だからです。

 

最新技術を駆使し、より軽く暖かく進化した”現代版N-2B”

冒頭でも書いたように、このN-2Bは中綿にシンサレートを採用しています。

古着屋さんで販売されているような数十年前のN-2Bも、フワフワしているし、軍モノ特有の無骨で最高に格好いい雰囲気を持っているし、もちろん暖かいんです。

ひとつ難点を挙げるとしたら、やや重いこと。ぼくはその点がまた男らしくて、無骨で好きだったりするのですが、重い服は着ていても疲れてしまう。

 

その点を、当時のN-2Bに採用されていた中綿よりも機能性に長けているシンサレートを採用することで解消している。

BEAUTY&YOUTHのN-2Bは、無骨な見た目の割にめちゃくちゃ軽いんですよ。最初に持ったとき、結構驚きました。

伝統ある軍モノの古めかしい見た目やデザインはそのままに、最新技術を駆使して所々をアップデート。これぞ現代版N-2B。

 

現代における”ミルスペック”も更新され続けており、そこにはPatagoniaやWILD THINGSといったアウトドアの超最前線が関わっているらしいので、最先端の対決をすれば敵わないと思います。

それでも今、古着屋さんに並んでいるようなアイテムと比べれば軽さでは圧勝。暖かさでも勝利しているのではないでしょうか。

 

ネット通販の難しさに直面。生地感は正直、想像と違っていた

届いた実物を見て、本家N-2Bをリスペクトした作りと、それでいて現代風にアップデートされた機能性、デザイン性にはなかなか満足していました。

しかし今回はネット通販の最も難しい部分に直面。届いたそれは正直、想像していたものと生地感が違っていた。

 

ぼくが調べ足りなかった部分もあるのですが、BEAUTY&YOUTHのN-2Bはどうやら去年、一昨年(恐らく)と2年連続で販売されていたらしく。

一昨年のモデルは表面がコットン100%のマットなツイル生地。去年のモデルはポリエステル70%、ナイロン30%のツヤと光沢を持った生地で飯場されていたそう。

 

ぼくは一昨年のコットンツイル生地のそれを手に入れるつもりでいたので、利用したブランド古着屋さんの商品写真も「これはきっとコットンツイルだよな・・・?」といった目で見ていました。

しかし購入したのはポリエステルとナイロンの混合生地モデル。思っていた以上に光沢があって、思っていた以上にミリタリー感が強めに出ていて。

 

実物を見れば一発で見分けが付くのですが、通販サイトに載せられた写真ではどれも光の当たり具合が違って、どっちがどっちかの見分けを付けることが非常に難しい。

ご親切に型番や品質表示タグの写真まで載せてくれているサイトはそうないので、この辺りに関してはもはや博打的な要素しかありません。

 

上の写真が、今回購入したBEAUTY&YOUTHのN-2Bにける表面の生地感。多少ツヤはあるものの、真っ黒な色味だとコットンツイルとの違いを判断することは困難でした。

 

一方でこちらの写真は、ぼくが大好きでヘビロテしている、iroquoisから以前販売されたコットンツイル生地のMA-1。

このMA-1も色味は黒とは言えど、染めの方法が特殊なため”チャコール”とも呼べるような雰囲気。

 

「もしコットンツイル生地を、正当な方法で染めた糸を使い織っていたとすれば、こんな色味でもおかしくないはず」

そう予想して購入しましたが、実際はポリエステルとナイロンの混合生地だったので、イメージよりも光沢が強く。

 

あまりにテカテカしているとミリタリー感が強すぎて、コーディネートを野暮ったくならないよう仕上げるのが難しい。

避けていたのですが、届いた今となっては、これはこれでいいかな、と思っています。

同じようなミリタリー系のアウターを、同じ色味と雰囲気で持っていても仕方がない。iroquoisのMA-1とはまた違った方向性でコーディネートを考えることに。

 

N-2Bを使ってコーディネート。ミニマルとアメカジのバランス感を意識して

最後に、せっかくN-2Bを購入したので、コーディネートをひとつ組んでみました。

カーキ系が多いミリタリー系アイテムの中でも、真っ黒な色味で、かつ必要最低限のデザインで再現されたN-2Bを使うにあたっては、その背景にある意図を尊重して。

本来、アメカジ古着として人気のN-2B。あくまでアメリカンなその雰囲気は取り入れつつ、ミニマルなデザインの意図も汲み取って、できるだけ野暮ったくならないように。

 

思いっきりカジュアルなリバースウィーブのスウェットにデニムを合わせる。

野暮ったいアメカジファッションの超定番ですが、あくまで合わせるのはフランス生まれ、ミニマルなデザイン性が特徴的なA.P.C.のPETIT STANDARD。

主役のN-2Bを重ねて、足元にも同じくミニマルで抜け感のあるirouoisのスリッポンで引き締める。

アメカジファッションの野暮ったさを取り入れつつも、全体としてはまとまった雰囲気を意識。このN-2Bが作られたコンセプトそのものを思わせるコーディネートです。

もはやシルエットやアイテム使いを意識する以前に、アイテムそれぞれの背景にある意図を汲み取った、服オタク的な考え方。

 

フロントを閉めてみると、こんな感じ。なかなか襟が高いので、マフラーは必要ないかもしれません。

やや斜めに配置されたボタンとフラップでフロントジップを完全に隠して、ルーツは軍モノながら非常にミニマルな印象に。

今回はスウェットですが、着丈短めのアウターからはサーマルカットソーの裾なんかをだらしなく出すスタイルも、個人的には大好きです。

 

現代ブランドの古着リスペクトに熱い魂と魅力を感じる

洋服にしても何にしても、ぼくは”意味のあるもの”が大好き。

ただ意味もなく存在するものと、在るべき意味を持って脈絡と存在し続けるものなら、後者の姿に惹かれます。

そのアイテムがまるで「俺は○○のために」もしくは「○○を伝えるために存在しているんだ」と叫んでいるようで、存在意義を全うしようとする姿に魅力を感じる。

 

ぼくが好きなブランドのひとつにiroquoisがありますが、デザイナーの吉田さん自身が古着好きで、旅行好きで、それらから得たインスピレーションを元に服を作っているんです。

そこには、対象の存在意義を、ブランドのフィルターを通じて着る人に訴えかける不思議な力と魅力がある。

そんな熱いメッセージを感じるから、ぼくはこのブランドが好きなのかもしれません。

 

同じように、脈絡と受け継がれてきた洋服のディテールをしっかり汲み取り、リスペクトしながら作られた洋服には何か、とてつもないオーラを感じるんです。

現代において作られている洋服の中でも、ただ売るために作られた洋服よりも、ぼくはそれぞれの存在意義を汲み取って作られた洋服を着ていたい。

現代ブランドの古着リスペクトには、特にそんな魅力を感じます。

洋服が好きな人たちにコアな古着好きが多いのって、そうしたフィルターを通して歴史を遡っていた先にある、最終地点が古着だからなのかもしれませんね。

 

今回ぼくが購入したUNITED ARROWS BEAUTY&YOUTHのN-2Bはブランド古着で購入したものなので、今お店に足を運んでも新品で購入できるものではありません。

ブランド古着で購入するなら、ぼくがそうだったように定価で30,000円のところ、5,000〜6,000円で手に入る可能性も大いにあるんです。

まずは色々なブランドの洋服が幅広く揃うメルカリを使って、是非探してみてください。

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いわた

いわた

洋服の経年変化を愛でるファッションブロガー。自分で着たい服を作ることも。 個人ブログ「いわタワー」も運営しています。

【4月28日(日)】映画「The True Cost」上映会を開催します



2019年4月28日(日)に新宿にて映画「The True Cost」の上映会を開催します。

ファストファッション人気の裏で低賃金、重労働に苦しむ人々がいる事実を写したドキュメンタリー。

洋服が好きな人のみならず、全ての洋服を着る人々に見て欲しい作品なので、上映会を開催することにしました。

ファッションとは何か、なぜ人は服を着るのかを今一度考える機会に必ずなってくれます。