「ネット通販がある今だから」理想の全てが詰まったセレクトショップに仙台で出会った話

先日、ふらっと仙台まで行ってきました。

きっかけは本当に小さなもので、少し前に読んだ小説『漁港の肉子ちゃん』の舞台となった場所が宮城県であったこと。それだけでした。

 

正確には宮城県牡鹿郡女川町。日本でも有数の大きな漁港がそこにはあって、東日本大震災で大きな被害を受けた場所でもあります。

日本人として、被災地には一度足を運んでおきたい。運んでおかなければという、使命感のようなものも感じていました。

加えて女川には、『漁港の肉子ちゃん』に登場する焼肉屋のモデルになったお店があって。そこに行って、小説のように焼肉を食べたいと思っていたんです。

 

1冊の小説を読んだことをきっかけに宮城県に足を運んで、秋保温泉や女川、そして仙台にも滞在した3泊4日の1人旅行。

最終日、仙台で新幹線に乗るまでの時間を持て余していたぼくは、服屋さんを探してふらふらしていました。

それらがたくさんある通りを歩いていると、大好きなブランド、iroquoisを取り扱っているお店を見つけて。

そこが、本当に素敵なお店だったんです。

 

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仙台のセレクトショップ『RARE OF THE LOOP』

セレクトショップの『RARE OF THE LOOP』さん。外の黒板でぼくの大好きなブランド、iroquoisを取り扱っていることを知り、条件反射で入ったお店。

お店に入ると優しそうな店員さんが話しかけて下さりました。

「今日はどちらからいらっしゃったんですか?」

 

「千葉なんです」と答えるぼく。そこから、洋服そっちのけの話を続けました。

仙台に足を運んだきっかけこそ小説を読んだことでしたが、実は47都道府県の全てに足を運んでみたいと思っていること。

ブログの広告収入で生計を立てていること。だから平日の昼間にふらふらしていること、などなど・・・。

 

RARE OF THE LOOP オーナーの森さん

店員(オーナーさんでした)の森さんも学生の頃に47都道府県巡りをヒッチハイクで行っていたこと。「やっぱり沖縄っていいですよね」なんて話まで。

学生の頃、「俺って本当は何がしたいんだ?」と思ったことをきっかけに休学し、そのままヒッチハイクで旅に出たそうです。めちゃくちゃアクティブ。

 

旅行が好きだったり、洋服が好きで、さらに大好きなブランドはiroquoisで・・・。

ふと1人で仙台に来て、素敵な温泉に入っても美味しいご飯を食べても向かいの席に誰もおらず、楽しんではいたものの口を開く機会がほとんどなかったぼく。

森さんとお話するまでの3日間でほとんど声を発することがなかった分を取り戻すかのように、テンションが上がってめちゃめちゃ話し込んでしまいました。

お店は営業中で森さんも仕事中だったというのに、図々しく・・・。

 

「俺は今流行りのウェブメディアに怒っててさ」

「ファッションブロガーってことは、まとめ記事とかも書いてるの?」

話はぼくがどうやってブログで生計を立てているのか、という内容に。

 

「いえ・・・前は書いていたんですけど、今はどうも書く気にならなくて」

ぼくはこのブログの他にも、学生の頃に立ち上げてから今も続けている個人ブログを持っています。

こうして生計を立てている今も、収入源は主にそちらのブログで過去に書いたアフィリエイト記事がメインだったり。

 

学生の頃はブログのアクセス数が伸びるのが楽しくて、アフィリエイトの成約が楽しくて、『大学生におすすめの安くておしゃれなブランドを紹介する』ような記事を書いていました。

当時はそこに楽しみを見出していたので、それはそれで良かったんだと思います。ぼくはいちばんにブログが楽しかった。

 

しかし今は考えが変わっていています。ブログはもちろん楽しい。

ただ、アクセス数を伸ばすため、お金を稼ぐためとはいえ自分が心底おすすめしたいと思っていない洋服に関する記事を書くことには嫌気が差してきました。

ぼくは自分が本当に好きなブランドについて、洋服について、ただただ楽しく書くだけのブログを続けていたい。

このブログ『いわたの偏愛コレクション』を立ち上げたいちばんの理由はそれでした。

 

「結局、本当にいい服って宣伝しなくても売れるんだよね。服が好きならいつか絶対、そんなブランドに辿り着くから」

森さんの言葉にぼくは強く共感しました。首がもげる勢いで縦に振り続けていた。

 

Googleの検索結果を見てみたって、その上位に位置するのは服好きなぼくらからすれば「うーん・・・」と思う内容の記事ばかり。

果たしてそれが本当に、心底おすすめできる洋服なのか?と言われれば、ぼくは全くそうは思いません。

もちろん検索する人の多くは、その意図は「いい服ってどんなものだろう?」「安く簡単におしゃれをしたいんだけど、どんな方法があるんだろう?」

そう考えている人がほとんどだと思います。だから、妥当と言ってしまえば妥当なものかもしれません。

まだ洋服にさほど興味を持っていない人が、いきなりシャツに数万円のお金を出すって、絶対に躊躇うことですし。

 

ただ、それにしても、もう少しいいものを勧められるんじゃない?と思っているというか。

やっぱりお金のため、アフィリエイト案件を成約させるために書かれた記事も入り混じっていて、なんとも複雑な気持ちになってしまうんですよね。

 

それに関しては同じようにアフィリエイトで収入を得ている身としては本当に難しいところ。

もはやぼくはそれに嫌気が差してしまって、ブロガーなのに実は新卒で独立してからのこの1年、ほとんどアフィリエイト記事を書いていないのでした。

自分がどれくらいの収入を得ているかも把握していなくて、これってブロガーとしては致命的。

ただ、それでもいいと思っている服に関してしか書く気がしないんです。きっとワガママなんだとは思いますが・・・。

 

ぼくとしては、要は”洋服に興味を抱いている人に対して、心底いいと思っている洋服だけを紹介したい”

ただ、記事を読む人の多くは”できるだけ安くおしゃれになりたい”と思っている。

それなのに、シャツやジーンズに2~3万円を出すことって、その人たちにとっては非常にハードルの高いこと。

 

だから伝え方を考えていかなきゃいけなかったり、どんな人に読んでもらうのかをもっと考えなくちゃいけなかったり、その辺りの課題はたくさんあって。

ただ、アパレル業界って予算が厳しくて、本当にいい服を作っている限りは原価がかなり高いので、広告に回すお金なんてほとんど存在しないんです。

ぼくのようなことをやろうとしているファッションブロガーって正直、一切お金にならないことをやっている。

ただそれでも、いいと思っていない洋服を紹介することは退屈でつまらない。本当に好きな洋服を紹介することは心底楽しい。だから続けているのでした。

 

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「実店舗を持っている意味を追求し続けたい」

アフィリエイトを中心としたまとめ記事が増えていたり、それに拍車を掛ける形でネット通販が普及していることもあり、多くの人が服屋さんに足を運ばなくなっています。

「ネット通販なら店員さんに話しかけられなくていいし、気軽に買い物を楽しめる」

確かに一部の服屋さんには高圧的な態度で接してくる店員さんがいたり、いかにも初見さんお断りな雰囲気を出しているお店もあったりします。

そういったお店はよくないと思うし、何もしなくたって自然に減っていくと思っていて。

 

ただ、今はほとんどのお店がそんなことはないと、足を運んでみた実感としては思っています。

『RARE OF THE LOOP』さんもそのひとつ。オーナーの森さんは「実店舗を持つ意味を追求し続けたい」と仰っていました。

 

洋服の買い物に関しては、実店舗に足を運ばないと分からないことがたくさんあります。

実際に着たときのサイズ感、シルエット、生地感、自分に似合うかどうか、などなど。加えて店員さんの接客が、その服に付加価値をプラスしてくれます。

その服が作られた過程や、使った機械、生地のお話をはじめとした、生まれるまでの背景にあるストーリー。そこまでを含めて初めてぼくは、心の底から欲しいと思うことが多いです。

それらは実店舗に足を運ばなければ、全く伝わってはこないもの。

 

ぼくもたまにネット通販で洋服を買いますが、そのほとんどが失敗に終わります。

原因は総じて「想像と違った」という部分にありました。色合い、その服が自分に似合うかどうか。それらが分からないまま服を買うことは難しい。

 

そういった状況だからこそ森さんは実店舗の存在意義を追求しながらお店を経営されているとのことでした。

お店に足を運ばないと分からない、それぞれの洋服が持っている魅力は絶対にある。

 

例えば『Varde77』が定番で展開しているアロハシャツ。

アロハシャツという洋服がそもそも薄手のレーヨン生地で作られていることもあり、ブランドとしては「半袖で作る必要がない」と判断されたそう。

それゆえVarde77のアロハシャツは夏物だって長袖が基本。袖を捲れば真夏だって涼しく着れてしまうからです。

 

何より注目すべきは、そのプリント柄。真夏でもサラッと着れるようなレーヨン100%の生地にこれだけ細かいプリント柄を施すことは至難の技。

生地がヨレてプリントにズレが生じることも多々あるそうですが、そうして少しばかりの生地を捨てることを犠牲にしてでも作り続けていること。

それを引き受けてくれる高い技術を持った工場が国内にはほとんど存在しないこと。そういった過程があって初めてこの1着が生まれたこと。

知らなければ「レーヨン生地にプリントを施したアロハシャツ」でしかありません。それだけでもデザインを愛すことはできるかもしれません。

 

それよりも、その服が生まれた過程を知れた方が遥かにその洋服を好きになれると思いませんか?

生まれるまでの背景にあるストーリーを知るため。その服をより愛してあげるため。

そのために、そんな話をしてくれる場所として存在するのが実店舗。RARE OF THE LOOPというひとつのお店なのでした。

本当にいい服が生まれる背景にはこうしたストーリーが絶対にあるものなんです。

 

本当にいい服は、宣伝しなくたって売れていく

結果、本当にいい服ってネット上に宣伝しなくたって売れていくものなんです。

宣伝しないスタンスを取っているブランドもたくさんありますが、「これだけいい服を作っているのに人に知られていないのはもったいない」と思うブランドもたくさん。

音楽でも洋服でも、ある程度の出来にあればマーケティング次第で売れていくものだと思っています。たくさん人目に触れたものが勝っていく。

一方で本当にいいものを作ろうとするあまり、広告にまでお金を回す余裕のないミュージシャンやブランドだって山ほどあって。

ぼくはそういった服や音楽にこそ魅力を感じるし、そこに注目していきたい。あの、媚びない感じが最高に格好よくて。

 

売り方としては不器用だけれど、最高に素晴らしい洋服を作っているブランド。

本当に”いい服”って、広告を打たないあまり多くの人が知らないだけで、実は知る人ぞ知るところに隠れているんです。

必ずしも売れている服=いい服とは限らない。多くの人が知っている服=いい服とは限らない。

これって、本当に分かりづらいんだろうな。でも伝えていきたい。

 

森さんはそんな思いから、広告を出さないし出せないけれど本当に素晴らしい洋服を多くの人に提供するため、RARE OF THE LOOPを経営されているそうです。

ぼくがこのブログを書き続けている理由も、それと全く同じなのでした。だから、森さんの考えにはとても共感して。

仙台のセレクトショップ、RARE OF THE LOOP。本当に素敵なお店でした。ぜひ一度は足を運んでみてほしい場所です。

▶︎RARE OF THE LOOP – SELECT SHOP

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いわた

いわた

洋服の経年変化を愛でるファッションブロガー。自分で着たい服を作ることも。 個人ブログ「いわタワー」も運営しています。

YouTubeチャンネル「いわたの偏愛コレクション」