くらえ、10年分の歴史を。これぞ本物の経年変化が魅せる迫力と存在感

行くといつでも、知らない愉快な洋楽がかかっている、とてもこじんまりとした古着屋さん。

個人で経営されていて、他に古着屋さんなんて周りにはなくて、外には半額になったリーバイスのジーンズがこれでもかと並んでいるお店。

 

まさに”知るひとぞ知る”なお店。大学の同級生で、古着を好んで着る奴が教えてくれたそのお店。

「俺の地元にひとつだけあるんだよ、古着屋が。」

 

以降、何か他に用事があってその駅で電車を降りることがあれば寄るようにしているそのお店で買った服。

棚に並ぶそれは、ひとつだけ異色の雰囲気を放っていました。

ヴィンテージの古着かと思えば違った。なんとブランドモノで、nonnativeのミリタリーブルゾンだった。

 

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10年モノのブランド古着。nonnativeのミリタリーブルゾン

2006年だったか、2007年のコレクションに登場したnonnativeのミリタリーブルゾン。

ぼくが買った時点で既に、登場から10年が経過していました。

当時は買う前だったか、後だったかにネットで調べたら10年前の記事が出てきたけれど、この記事を書くにあたって再び調べるも出てこない。どうやって調べたんだったかな。

 

古着屋さんでこの服を、確か7,000円くらいで買った。今でもブランド古着屋の通販サイトを覗けば簡単に見つかる同じ服。

それはぼくが見た限り、やっぱり6,000円くらいで売られていた。

古着屋さんではこの服に12,000円の値札が付いていました。でもしばらく売れなかったのか、そこに大きくバツをして7,000円に値下げされていた。

確かに、10年前のブランド古着。定価だって恐らく4~5万年だろうから、1万円オーバーじゃ売れないだろうな。

 

ただ、ひとつ思ったのは、発売から10年が経ってもこの服が持つ魅力、そして価値は少しも下がっていないということ。

ぼくの目にはこの服が、ヴィンテージの1着と同等の渋さを放っているように映ったのです。

普通、デザイナーズブランドの洋服はカルト的な人気を誇るアイテム(UNDERCOVERの85デニム等)でない限り、その価値は下がっていくものだ。

生地や見た目の劣化、積み重なった着用感やダメージが原因となって。

 

一方でこのブルゾンは、当時よりも価値が上がっているとぼくは思う。

それも同じ服全てがという訳ではなく、あの古着屋さんであの日出会ったこの1着は、世界に2つとない魅力を持っていた。

以前この服を着ていた持ち主は、とても素敵な着方をしてきたんだな、と一瞬で伝わってきたんです。

 

くたびれて色褪せたコットン地が10年の歴史を語る

表、裏共にコットン100%の生地で形成されているこのブルゾン。新品当時はハリのある生地感だったであろうと想像させる、くたびれた雰囲気。

当時のそれから仕様に伴ってピンとした若さを象徴するハリ感は消え、代わりに残ったコシの強さが、ミリタリーブルゾン特有の強さを感じさせます。

引き裂きなどの衝撃に耐えうる男らしさ。そこからはもはや渋みさえも感じます。

 

色褪せた生地が、その歴史の長さを語っています。それがたったの10年には思えないくらいには、長い長い時間を経てきたことを彷彿とさせる。

 

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ポケットに配置されたナイロン地の無骨な光沢

フロントに施された、大きくて特徴的な2つのポケット。それぞれフラップが付いていて、ボタンの留め部分には茶色いナイロン地が存在します。

 

左胸部分にぽつんと、それでもナイロン地のお陰で辛うじて存在感を保っているポケット。

今でこそ僅かな光沢を放つ程度ですが、これも新品当時はもうほんの少しでも、ギラギラしていなのではないでしょうか。

老いてそこまでの迫力こそなくなったものの、月日を重ねたそれにしか出せない無骨な渋さを放っています。

 

日に焼けて耐久性の落ちたリブ。この服が持ついちばんの特徴として

袖に位置するは白いラインの入った大きなリブ。これ、異様に長くて。裾に位置するリブよりも長くて。

さすがに疲れと年季の入りを感じさせるものの、10年が経った今でも破れはなし。ポケットと並んでこの服を象徴する特徴的なディテールです。

 

裾部分にも同じく、白いラインの入ったリブ。引っ張ると千切れてしまいそうな不安を感じますが、意外と丈夫だったり。

日に焼けて繊維がくたびれている様子を感じます。

 

そしてそして、襟もリブ編みで構成されています。こちらには白いラインが入らず、単色使いなのも好きなところ。

 

ミリタリーブルゾンらしく、襟下にはボタンが備わっていて、留めることで風の侵入を防止できます。

今はマフラーを巻いて風を凌ぐことが多いため、このボタンの出番はほとんどありませんが、ここまで軍モノのディテールを踏襲するのは、さすがnonnative。

 

錆びて不敵にな笑みを浮かべるボタンとジップの存在感

フラップに位置するボタン。もはや、当初どんな色をしていたのか想像がつきません。

ここまで語っておいて「最初からこんな加工でした」なんて言われてしまったら、それはそれで面白いけど・・・。

 

きました、ぼくの大好きなWALDESジップ。持ち手はもう真っ黒で、むしろそれを通り越して赤味を帯びてきた。

他の記事でも同じことを何度も書いていますが、どれだけ質のいい洋服であっても、ジップ選びに手を抜くと全体の印象が安っぽくなってしまいます。

だからぼくはジップにYKKを採用している服を見ると、その他全てのディテールを気に入っていても避けてしまう。それくらいには大変なこと。

 

さすがにデザイナーズブランドでジップに手を抜いているブランドはほとんど見たことがないけれど。

左腕に配置されたシガーポケット 。そのジップにも同じくWALDES。

外側のポケットもフェイクではなく本当にモノが入るようになっているけれど、現代人でここにペンを入れたことがある人っているのかな?

 

Tシャツにジーンズ。シンプルな格好に合わせて羽織りたい

着ているところを見て頂けるとわかりやすいと思いますが、やっぱりこの服、袖のリブが異様に長い。

なんなら手の甲まで少し隠れるほどで、男らしさとは逆をいく萌え袖スタイルができてしまいそう。でも、個人的にはそんなアンバランス感がまた好きで。

 

Tシャツにジーンズ姿でも男らしく仕上げてくれる無骨なブルゾン。

今時流行りの、ミリタリーブルゾンとはいえ中性的な雰囲気を持つそれらにはない、独特の渋さを持っています。

これは元々持ち合わせていたところもあるとは思いますが、何より10年という月日を経て確実に進化しているはず。

新品の服にはとても出せない、見る者を魅了する迫力。

 

これだけ無骨な印象とは裏腹に裏地からはどこかケミカルな雰囲気が漂います。

それも縦に入った線は立体的で、硬くて・・・これ、どんな素材で作られているの?

言葉で説明するのが非常に難しい、なんとも独特な肌触りをしています。アウトドアブランドの洋服によく採用されていそうな。

 

劣化ではなく変化を遂げた、デザイナーズの10年モノ

ネットで探せば、この服と同じ1着はすぐに手に入ります。それも安価で、6,000円くらい。

しかし同じ服でも、あの日あの古着屋で出会ったこの1着からは何か、ただならぬ雰囲気を感じ取りました。

 

普通、デザイナーズブランドの洋服の多くは”ブランド古着”として扱われるのがいいところ。

それにはぼくが大好きな経年変化を魅せてくれる、ジーンズやレザージャケットも含まれています。

そう、経年変化とはその服を一途に愛して着続ける人が持つ偏愛の証でしかないのです。

 

どんな洋服だって一般的には、着れば着るほどに価値は落ちます。

ぼくの相棒、PETIT STANDARDだって定価こそ2万円ちょっとでした。一方で色落ちした中古のそれらは、4,000円もあれば手に入ってしまう。

 

洋服は着れば着るほどに価値が下がっていく。これが一般的な感覚です。

経年変化を愛でるとはもはや、そこに左右されない、持ち主がその服に注ぐ愛情の証。

ぼくにとって、PETIT STANDARDを中古なら安く買えるとはいえ、誰かの途中からスタートして育てるのはつまらないことです。

 

しかしヴィンテージのジーンズに100万円の価値があるのは、その素晴らしい色落ちを形成するためには100年という月日が必要不可欠だったから。

そして100年が経った今でも綺麗にそれが残っているという事実に価値があるから。

・・・この辺りの話を一緒にすると一気に紛らわしくなるので、また別の機会に記事を書こうと思います。

 

話を戻すと、全ての洋服の市場における価値は、着れば着るほどに下がっていくもの。

洋服の経年変化とは持ち主による愛の現れで、基本的に持ち主が愛でるもの。第三者には価値のないものである。

 

それが当たり前の世界で、この1着からは深い歴史と、値段では測れない絶対的な価値を感じたのでした。

つまり第三者であるぼくでさえ、格好いいと思えるだけの魅力を持った、経年変化を感じさせる洋服を、以前の持ち主は作り上げてしまった。

ただ、裸を隠すための道具として着ていたのでは下がっていったであろうその価値を上げたもの。それは間違いなく以前の持ち主が注いだこの服への愛でしょう。

 

着方次第で、洋服が魅せてくれる表情だって変わっていく。それも含めて古着って、経年変化って面白いんだと思います。

持ち主はなぜこの服を手放してしまったのか。もうこの服は自分には若すぎるって思ったとか。飽きを感じたとか?

 

でも、確かにこの洋服が愛されていたことは、パッと一目見ただけでバッチリ伝わってきました。これからは、ぼくがこいつを確かに愛し続けていきます。

 

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いわた

いわた

洋服の経年変化を愛でるファッションブロガー。自分で着たい服を作ることも。 個人ブログ「いわタワー」も運営しています。

【4月28日(日)】映画「The True Cost」上映会を開催します



2019年4月28日(日)に新宿にて映画「The True Cost」の上映会を開催します。

ファストファッション人気の裏で低賃金、重労働に苦しむ人々がいる事実を写したドキュメンタリー。

洋服が好きな人のみならず、全ての洋服を着る人々に見て欲しい作品なので、上映会を開催することにしました。

ファッションとは何か、なぜ人は服を着るのかを今一度考える機会に必ずなってくれます。