父親よりも年上のヴィンテージ開衿シャツ

古着に求めるもの。

学生の頃は安さを求めて、コンテナ単位で入荷している、ほぼ倉庫のような古着屋さんに通っていました。

 

今では求めるものが変わってきて、アメリカが今より豊かだった頃、贅沢な素材を使って作られた洋服に感動してみたり。

年代モノ・・・いわゆるヴィンテージの洋服が醸し出す、渋く大人な雰囲気にただただ魅了されてみたり。

新品の服にはない絶妙な雰囲気がありますよね。貫禄っていうのかな?

 

ピカピカの輝かしさより、クタクタの渋みになぜか惹かれてしまうぼくは日々、特に買いたいものもないままに古着屋さんをハシゴしています。

また素敵な出会いがあったので、思わず購入してしまいました。今日はそれを記事にしておきたいと思います。

 

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1950年代前半に生産されたレーヨン生地の開衿シャツ

近所で古着屋巡りをすれば高い確率で足を運ぶものの、一度も買い物をしたことがなかったお店。

恐らく日本で最も有名な古着屋であろう、原宿の某古着屋さんから独立された方が経営されているとのことでした。

 

それだけのことはあって、近隣の古着屋で働いている店員さんや美容師さんもその品揃えの豊富さを絶賛していたくらいで。

「あそこに行って欲しいものを言えば大体出てくるんですよ」

皆さん口を揃えてそう仰るのでもう、驚きでした。

 

いかにも古着に詳しそうなオーナーさんは、店内に足を踏み入れると小さく「いらっしゃいませ」と挨拶はして下さるものの・・・何だか少し怖くて。

あるじゃないですか、古着屋の店員さんが放つ、なぜだか怖いあのオーラ。

 

そのお店にはたまに、レジ前に実家で飼っている愛猫とそっくりの子がいるので、それを話題に何か話せないかな・・・とは思うものの、できなくて。

でも、この前はそんなオーナーさんが気さくに声をかけて下さって。「よろしければご試着されてみますか?」

 

実は前回足を運んだときに少し気になっていたシャツがあって、それがやっぱり気になって今回もまた足を運んだのでした。

そうしたらその日はオーナーさんが優しくて、気になっていたシャツもまだ残っていて、ダブルでホッとして。

試着をしてみたらサイズはピッタリで、やっぱりカッコよくて、そいつを連れて帰ってきたのでした。

 

にしてもあの日はどうして優しかったんだろう?

ベストを羽織っていたり、N-1を着ていたり、少しばかり古着が好きそうな格好をしていたからかな?

 

・・・前置きが長くなってしまいましたが、そんなこんなで家に連れて帰ってきたシャツがこちらなのでした。

1950年代の前半に製造された、いわゆる”ヴィンテージ”なレーヨン素材の開衿シャツ。

ぼくが本格的に古着の魅力を感じるようになってからはまだ1年ちょっと。その間に買った古着の中では最も古いものになります。

 

50年代前半なので、2018年現在は60歳を軽く越えているってことですよね。

ぼくの父親よりも年上のレーヨンシャツを手に入れてしまいました。

 

惚れたのはその色味。白でもアイボリーでもない不思議な色味

初めて目にしたとき、このシャツに惚れた理由は絶妙な色味にありました。

白ともアイボリーとも言えない絶妙な色味。それでもって、買った後で日の光に当てて見るとピンクにも近いような?

照明が暖色系なので、店内と外では服の色味に対する印象が違って見える、古着屋さんあるある。

 

実はぼく、あまりシャツを持っていません。

カッチリした雰囲気の洋服が苦手なのであまり持っていなかったのですが、これから気温が上がってきたときのインナーがTシャツだけというのも寂しくて。

襟が付いているんだけど、生地感もシルエットもカッチリしすぎない、そんなシャツが欲しくてずっと探していたんです。それもできれば無地で。

 

この1着はぼくの理想にとても近くて。レーヨン生地で開衿デザインという、シャツ界においてゆるさを象徴する2大巨塔が揃っています。

とはいえレーヨン生地の開衿シャツなんて今時のドメスティックブランドは多く展開していますが、それではダメな理由が洗濯できないこと。

特にWACKO MARIAやRUDE GALLERYのそれらって本当にカッコよくていつも欲しくなるのですが、なんせ洗濯マークに×が付いているんですよね。

 

レーヨン生地って水に弱く縮みやすいので、洗濯なんてしてしまったらもう大変なことになってしまいます。

だから汗をかいたらクリーニングに出すのが基本なのですが、汗っかきなぼくは毎度そんな面倒なことをできません。

SHAREEFのようにウォッシャブルレーヨン(洗濯のできるレーヨン生地)で作ってくれたらいいのにな、といつも思っています。

 

それなのにヴィンテージ古着を漁るとレーヨンシャツは人気に人気があって、たくさん出てくるのって面白いですよね。

昔の方が資源も豊かで服を1着作るにしてもいい生地を使うことができたため、モノがよく縮みにくかったのでしょうか。

 

現行ブランドが現代技術を駆使して作った洋服と、資源が豊かでお金もあった頃に作られたヴィンテージの洋服。

機能性以外の面で競わせてみれば、どちらを選ぶか少し迷ってしまう程には質がいいですよね、昔の服って。

 

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随所に感じる歴史の長さ。ヴィンテージの醍醐味

オーナーさんにお話を聞いてみても特にブランドのお話はなかったので、恐らくノーブランドの1着。

当時はノーブランドの服でも、60年も経つと”ヴィンテージ”というブランドが付きますもんね。

 

これだけ時が経っても綺麗に残っている希少性。特別リペアをした痕跡もないので大切に着てこられたのでしょう。

普通に醤油やケチャップをこぼしてしまわないよう、細心の注意を払いたいところです。

 

それでいてやっぱり、劣化せずに残っていられるくらいには質の高い生地が採用されていて。

柔らかく優しい肌触りを持ち、テロッとした生地感でありつつも適度なハリを持っていることが特徴的なレーヨンシャツ。

 

この生地を使ってゆるいシルエットのシャツを作るとシルエットが崩壊しがちなイメージ。

無骨なルード系ブランドが好んでレーヨン生地を使って開衿シャツを作ることには納得です。印象が中和されて程よく男らしさの漂う1着ができる。

 

ボタンが通常のシャツと比べ、ボタンホールに対してやや大きめのものが採用されています。

そのため閉めるときはややキツい印象。とはいえ60年以上も前の服だから、何度か付け直されたり取り替えられたりしているかもしれませんが。

 

開衿シャツが開衿シャツたる所以このように、襟が開いていることから。

特徴とも言えるのがこの、襟に付けられたボタンホール。

 

もちろんちゃんと閉められるように、反対側にある襟の下にはボタンが存在しています。

元々は通常のシャツよりも襟を広く開いて、できるだけ風を取り込んで涼しく過ごせるようにと設計され作られた開衿シャツ。

 

今世の中に流通している全ての洋服におけるデザインの大元となっているのは言うもでもなく昔の服であり、古着。

ディテールの全てに意味があると思っているのですが、いちばん上のボタンが申し訳なさそうに存在していることにも意味が隠されているのでしょうか。

 

夏になるとなぜかルードな服装に手を出したくなるぼくは、気温が上がってくると無意識に開衿シャツやボーリングシャツを探し始めます。

それらに共通する特徴的なデザインに、広く開いた襟と共に胸元のポケット。

 

現行ブランドのアイテムであればフラップ(ポケットのフタ)が付いていないデザインも多々見かけますが、古着では付いているものを見かけることが多い気がして。

面から見ると糸が点となってポツリと見えるこの縫い方が可愛い。今どきの服にはあまり見ないような。

 

今の服にはあまりないディテールを発見できることも、古着においては魅力のひとつ。

技術的には現代の方が進化していることと思いますが、どれを取るにしても”そこにしかない魅力”というのはあるもので。

今の服には今の服の、古着には古着の魅力があって。ぼくはそんな、古めかしいディテールに惹かれることが増えてきました。

 

男らしいボックスシルエット。ベストとコンビでの活躍に期待

着ると際立つのは、着丈が短い分、正方形に近いボックスシルエット。

ライダースにしろ、ボックスシルエットを基軸に形成される開衿シャツにしろ、着丈の短い洋服にはどこか男らしさを感じます。

ワンピースなど、着丈の長い洋服には女性的な印象を抱くから、短いとその逆で男らしさを感じたりするのでしょうか。

 

思っていたよりも首元が広く開いているので、丸首の半袖Tシャツをインに仕込んでちょこっと見せるくらいに着るのも楽しそう。

 

1枚で着ても十分にカッコいいのですが、どこか男らしさの漂うシルエットを目にするとベストを重ねたくなるのが僕の性。

渋いオジさんのような服装が大好きです。

この前カフェにいた、白シャツに辛子色のベストを羽織ってタバコを咥えたオジさんが渋くて、年を重ねたらあんな格好が似合う人になりたいと思いました。

 

写真ではジーンズを穿いていますが、これがスラックスだと尚いいですね。

足元には革靴で、頭にはキャスケット・・・と、無意識のうちに思考がワンパターンになってしまいます。

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春が待ち遠しくなるヴィンテージの開衿シャツ

自分の父親よりも年上のシャツ。

そんな服がたくさんあることは知っていても、いざ手にしてみると少しばかり不思議な感覚になります。

ぼくよりもずっと長くこの世に存在していて、まだまだ現役で。

23年しか生きていない、古着を好きになってから日が浅いぼくに、「洋服だって意外と長生きなんだぞ」と改めて教えてくれた1着なのでした。

 

これまでずっと綺麗なまま残ってきたシャツなので、シミが残るようなものをこぼさないようにだけは気をつけたいと思います。

柄シャツも無地シャツも同じシャツなのに、後者を着ている日だけはやっぱり食べるものには過剰に気になってしまいますよね。

特に白だったり、アイボリーだったりすれば尚更のこと。

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いわた

いわた

洋服の経年変化を愛でるファッションブロガー。自分で着たい服を作ることも。 個人ブログ「いわタワー」も運営しています。

【4月28日(日)】映画「The True Cost」上映会を開催します



2019年4月28日(日)に新宿にて映画「The True Cost」の上映会を開催します。

ファストファッション人気の裏で低賃金、重労働に苦しむ人々がいる事実を写したドキュメンタリー。

洋服が好きな人のみならず、全ての洋服を着る人々に見て欲しい作品なので、上映会を開催することにしました。

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